雪の日に祝福を…。
  


「解りました。」


 朝の倖せな気分がどこかに飛んでいってしまった。


「じゃあ、頼むよ。」


「はい・・・。」


 返事をするのどが苦しい。


「では、また。」


「お気を付けて。」


 車に乗り込み走り去るまで見送った。


「若狭。あれ、千明社長だろう?」


「ええ、そうよ。」


「俺は、担当を外されたのか?」


「いいえ。私に個人的にご用だったの。」


「〝ご用〟って何?」


「元婚約者でも教えてあげない。」


「おい。」


「ふふ。」


「あんまりイジメんなよ。」


「ごめんね。赤ちゃんは、順調?」


「おかげさまで。」


「そう。」


「仕事に行こうか。」


「そうね。」


 二人は、オフィスに戻った。


 》 》


 障害のない人生などない。
 どこかに乗り越えられない障害がある。

 そして私たちを試すんだ。

 私は、彼の障害に屈した訳ではない。
 でも、〝障害〟が先に行くのを止めたのだ。


 《 《


「・・・さん?いさん?月依さん?」


「え?」


 ようやく声を掛けられたことに気が付いた。


   
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