アイドルの素顔に夢を見るのは間違っている
メンヘラ男に要注意


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「はぁ……」


「マネージャーやめてよー!ため息ついたら幸せ逃げる……いま大事なレースなんだからさ…」


「うるせぇ……このクソギャンブラー」


「え、く、口悪!!!」



どういうことだ。


まだ右も左も分からないから仕方ないけれど、テレビでもゲームでも流行ってるから知ってるよ。ダンスとか歌ってレッスンやるものじゃないの?



こいつら……

ただ事務所で寛いでるだけじゃん!!!



「あんたち本当にアイドルになる気あるわけ?」


「……当たり前だろ。さっさと仕事取ってこいよ。というかこの俺様をあんたとか言うな。蓮斗様、もしくは蓮様と」


「……うるさいなぁ…というか蓮斗さんはアイドルというより、ホストなんだけど!ボタンちゃんとしめろ!!」



「……ああ? お前妊娠させるぞ。 」


「………なっ本当にクズ!!」



いや、もう顔だけ過ぎてどうしようもないこの5人を押し付けられたことによって、円形脱毛症ができる未来も近い。


お母さんはこいつらのどこに惹かれたの……絶望的なのに…



たくさんある書類を見返して、名刺の整理をしながら今後の動きを考えた。




どうしよう……まず、こいつらを1人ずつ更生させる必要がある気がする……話はそこからのような。




「…あれ?っていうか凛太朗くんどこ行ったの?」



5人いると思っていたのに、1人足りないことに今ふと気付いた。



「あー…凛はね、今日ひどく死にたい日だからほっといていいよ」


「…慎太郎くんは、双子の兄なのに冷めてるね……死にたい日ってやばいじゃない」


「いまさ、メッセアプリReinのアイコンも真っ暗だし、”凛太朗は死にたい”って名前にもなってるからさー。構うと面倒くさいからこういう時は、ほっとくの。いっつもしーちゃんが世話焼いてくれるんだけど」



カチカチとひたすらゲームから目線を外さず、そんな事を言う彼に私の顔は歪んでいく。



っていうかしーちゃん誰……



「だってあの子、何度言ったって直らないんだもの。本当に死ぬ気はないから放っておくのが一番なのよ。」



……しーちゃんお前かよ


俊輔さんがそういった事で1つ謎は解けたけれど、これはまずあの一番危険な凛太朗くんをなんとかするしかないなって思った。



「……凛太朗くんはどこ?家?」


「あら…行くの?マネージャー」


「放っておけないでしょ。一応アイドルの卵なんだから大事な身体に傷がついたら困るし」


立ち上がり


「あんたたちもさっさとなにか行動しなさいよ」


と言い残して事務所を出て行く。




「…お前らどうして言わないんだ?」

「……蓮……だって押しつけるのが一番じゃない。」


「……凛太朗の依存体質とヤンデレは双子の兄でも怖いからねー。まぁ心優ちゃんに任せるのが一番かなぁ。」



こいつらが内緒にしていたのに


メンヘラの罠にハマる危機があるなんて、誰がわかるというんだ。





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