アイドルの素顔に夢を見るのは間違っている


マネージャー兼社長としてこの件に口出ししますか?


YES ←
NO



「あの……俊輔さん。」


私の声かけにクルッと振り向いた彼は、キッと睨みつけて来た。




ひぃ


「……アイドルになる前に恋愛沙汰は困るというか」



他の奴らには強く言える。
だけど、なぜだか俊輔さんには私の心の方が折れてしまいそうになるのだ。




自分がこの人より女として負けているような気がするからだろうか。



「…なによ。口出しする気?」


「い、今は大切な時期だし、唯一真面目だった俊輔さんがそれじゃあ困りますという話を」


「関係ないでしょ!! アイドルだって隠れてコソコソ恋愛くらいしてるじゃないの!」

「な、そういうことを言ってるんじゃありません!!」


「……私は彼の為なら、夢を捨てたっていいわっ!!」


ダメだ。
完全に恋愛脳だ。



とやっぱり心が折れた。



高校の友達と同じパターン。
恋をすると盲目タイプ。
こちらがなにを言ったって否定で返ってきて、私の口から自分への肯定を吐き出させるために必死になる。


それをいまはアイドル志望の男がやっているということは、大問題。



「優しいのよ。彼。」


「ほんとに優しいの?」


「そうよ。凛ちゃん! 私みたいな男にも優しくしてくれるの。おネェってわかった瞬間、女みたいに扱ってくれるし!良い人だわ」





一体どんな人なんだろうと
もう私を完全に視界から消した俊輔さんを見つめながら考えた。


っていうか、おネェバレしてんのかよ
最悪かよ……




「どこのBARの男?」



そんな中ふと健吾さんがした質問に、私は

よくやった!


と心の中で誉めたたえる。



「駅の近くの ムーン っていうBARよ」


「ムーン……聞いたことあるBARだな。」


「チェーン店っぽいもの。健ちゃんも今度いきましょうよ。」



グッジョブ健吾さん


私はこれがどんな男か見に行ける。



私以外には上機嫌に話している俊輔さんの隙を見て、スマホで調べてみたらあっさりでた。



……これも仕事だと思って偵察する。




「みんなーご飯だよっ!!」



そして何が何でも恋愛に発展できないように、私が努力するしかないっ!
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