アイドルの素顔に夢を見るのは間違っている
しーちゃんの決意に私は口をぽかんとさせている。するとキッと睨まれて
「返事は!?」
と叫ばれてしまった。
「は、は、はいっ!!」
「よろしい。」
そう言って笑った彼は、親指で私の口端を拭いそれをペロリと舐める。
……うわぁ…妖艶。
「とりあえず下着ね。女は中身からよ。胸のサイズ測ってちゃんとしたの買いなさい」
「え、あ、は、はい。すみません」
お母さんと言うよりはオネェさん??
「私、昔はエステシャン目指してたの。そのむくんだ身体もなんとかしてあげるわ。」
「い、色々やってんですね。」
「とりあえず着替えてらっしゃい。シャツにアイロンかけておいたから」
なにからなにまでできる人だと感心した。
やっぱり、しーちゃんがリーダーになるべきだと思った私の目に狂いはない。
「…ありがとう…」
「一緒に頑張りましょうね。みゅー。」
「!!?」
いきなり呼ばれた名前に、返事をするよりも驚いてしまった。
「い、い、いま名前!いままで呼んでくれなかったのに!」
「……これでも期待してんのよ。冷たくして悪かったわ。女にはいい思い出がないけど、あんたは別よ」
この展開は素直に嬉しくてついつい思い切りにやける私の顔。
「なにその顔。ブス」
「ふふ…いいの。嬉しくて!着替えて来ますっ!!」
にやけた顔のままリビングをでて、彼の部屋へ。
下着まで管理されるのか。なんて思ってたけど、しーちゃんならいいや。すごく仲良くなれそうだ。オネェだもんね。
「……意地悪だなぁ。」
「あら、健ちゃん何?」
「…心優ちゃんきっと勘違いしてる。お前、バイセクシャルだろ。」
「……ふふ。聞かれなかったから言わなかっただけよ。」
「しーちゃん…ずる……」
そんな会話もつゆ知らず、私は燃えていた。
リーダーも決まったし、後は問題ありありの2人をなんとかするのみ。
アイドルの活動はそこからだ。