アイドルの素顔に夢を見るのは間違っている
二次元は優しい世界
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「久しぶりにあったら、なんか可愛くなってない?心優」
「ぶっ!!」
「うわっ、おまっ、きったねぇ!」
何週間ぶりに来た晃の家。
たまには休みなさい。美容に悪いから
としーちゃんがお休みをくれたのだ。
『いい?彼氏と会っていちゃついてくるのよ!じゃないとあんたは女として枯れちゃうわ!』
そしてこんなお節介をされて、晃に連絡をとりいまに至る。
しーちゃんが心を許してくれたのは、そりゃもう大きな進歩で
アイドル活動への目標が見えてきたと言っても過言ではない。
だけど、さすがはオネェ。
色んなお店に連れ回されては、あれしなさいこれしなさい。自分を磨かなきゃダメだとか、私の上司に向いてないだの小言が多い。
オネェさんというよりは、美の姑だ。
まぁでもそのせいで晃に褒められてしまったのだけど。
「……いや、実は1人美容にうるさい人がいて、俺の社長なら美に気を使えーなんて……」
オネェがいるなんて、彼氏にも言えるわけがなく軽く自分でアレンジしておいた。
「へー…さすがアイドル目指す男は違うなぁ……」
「その人が特殊なんだけどね。あはは」
「そかそか。」
飲んでいたお茶をコトンと机に置くと、晃がソッと横にくる。
そういえば本当に久しぶりだ。
しーちゃんに選んでもらった下着つけて来てよかったかも。
なんてそんなバカなことを考える私の頭。
「心優……お疲れ様」
彼特有の頭なでなでがきて、私が唯一甘えられるのはやっぱり晃だけだと実感。
そっと身をまかせるといつのまにかキスがきて、心地いい世界に酔いしれた。
…癒しだ…本当に……
「……晃……」
「…やっぱ可愛くなってる…」
クスッと甘い言葉を囁かれて、後は身をまかせるだけ。それだけだった。
それなのに
♪〜
部屋中に響いたスマホの着信音にお互い身体が止まる。
しまったぁあああああああ
マナーモードにするべきだっタァああああ
心の中で激しく後悔して、慌ててスマホを切った。
しかし、数分もしないうちにまた鳴り響くそれ。
「も、もうだれ!?」