アイドルの素顔に夢を見るのは間違っている
「な、な、卑怯者!!」
まずどうして彼氏がいることを知ってるのこの人。
しかし冷静に考えると、こいつらが晃の連絡先を知るはずもない。こんなのはただのハッタリだ。
「ハッタリだって思ったろ?」
「へ……」
「……いまは調べりゃいくらでも本人にたどり着く。ネット社会なめんなよ……」
蓮斗さんの言葉にゴクリと息を飲んだ。
いまがっつりキスされたし、これを見て晃はいい気持ちにはならないだろう。
「り、理由話せばわかってもらえるはず。私と彼の絆なめないで。」
……根拠ないけど。
「ああ…そうかよ。なら奥の手だ。凛太朗。お前の出番」
チッと激しい彼の舌打ちの後、凛太朗くんがゆっくりと近づいてくる。
「な、な、なに、なんなの」
「…心優ちゃん……」
「なにする気!!?」
「……心優ちゃんがいなくなるってことは、僕みたいなゴミには生きてる価値もないってことだよね。そうだよね?わかったよ……僕死ぬから安心して…」
「は、は!!?」
「生きててもなんの意味もない……生まれてきてごめんなさい。アイドルになれるかもなんて期待してごめんなさい、、クズでごめんなさい。さようなら……」
「す、ストップ!ストップ!!」
なにを言われてももう放棄すると決めたはずなのに、彼の凄まじい攻撃に私は慌てて止めに入った。
この子、闇が深すぎる!!!
「わかったから!やるから!死んだらダメ!」
「…死なせてくれないの?」
「う、うん。アイドル頑張ろうっ!!」
こんなの見捨てられるわけない。
よくみたら手首のところに包帯してるし、危なすぎる。
「…あらぁ…凛ちゃんのメンヘラが効果絶大ね。というより、蓮にキスされた時点でこの女は私の敵」
……おネェがなんか言ってるし………
もうジタバタできない。
キスまでされたし、絆をなめるなとは言ったけど、できれば晃にばらして欲しくないし、死ぬとか脅されるし、無理だ。逃げられるわけない。
覚悟を決めよう……
「もういいわ。こうなったら本気であんたたちをトップアイドルにしてやる。覚悟してなさいよっ!!!」
ビシッと指差して5人を見渡せば
バチバチと火花が散った気がした。
「期待してるぞ…。マネージャー社長」
エロ女たらし
「…やばい。レース始まる…」
ギャンブル好き
「小娘相手は癪だけど」
おネェ。
「もうゲームしてもいい?」
ゲーマー
「……死にたい……」
メンヘラ
よそにいけない理由はよくわかった。
クズの塊だからですね。
大きく大きく
私の人生が狂っていく気がした
お母さん…………ほんと嫌い
あんたのこと。