この関係を壊してでも伝えたいこと
「さて、脱出しますか」
「出来るんですか?」
「やるんだよ、その窓から出る」
私が指差したのは夕日が射し込む直径40センチほどの正方形の窓。
高さは162センチの私が手を伸ばせば枠に届く程度。
「…たっか、あと狭い」
「アコちゃん細いしちっちゃいから行けるって」
「アコにやらせるんですか!?」
「大丈夫、私が足場になるし」
ブレザーを脱ぎ、埃っぽい床に四つん這いになる。
うわぁ、ここちゃんと掃除してよ…
ザラザラして気持ち悪い。
「えっ、乗るんですか!?」
「当たり前でしょ、出たくないの?」
「出たいですけど」
「よし来い」
先輩の上に乗るなんて、と渋るアコちゃんを丸め込み脱出作戦を開始。
出ると決まればさっさと帰りたい。
「緑川さんっ、窓開かない…」
「頑張れ!」
「うっ、くうううう…」
何度目か分からないチャイムの音が鳴り、気がつけば外は真っ暗だった。
体力も無くなり私達はぐったりと床に座り込んでいた。
汚いとかもうどうでもいい。
アコ、閉所恐怖症治ったかも…と諦めた目で言い出したのが最後から三番目のチャイムがなった頃。