この関係を壊してでも伝えたいこと
木の影に隠れていても、俺にはわかるんだけど。
何年お前と一緒だと思ってるんだよ。
「おい出て来い、行くぞ」
状況を理解していない彗月の返事を待たずに、手を繋ぎ、中間ゴールへと向かう。
「凛ちゃん、待ってよ」
「やだ」
「ねぇ!なんで私なの?代わり?」
彗月は気がのらないのか、抵抗するように遅く走っている。
「わかんねーけど始めっからお前のこと探してた」
「意味わかんないんだけど」
「別れたのは競技の途中、でもその前から、紙引いた瞬間からお前しかいないって思ってた」
「…ますます意味わかんないよ」
凛ちゃんはしょうがないなぁ、と困ったように笑う彗月は泣きそうな顔をしていた。
さっきまで怒っていたのに、変なやつ。
喜んでるみたいだ。