この関係を壊してでも伝えたいこと
『青山選手!連れてきたのはー…緑川さん!我らの最後の砦、緑川彗月さんだ!なんと言うことでしょう…』
「何?最後の砦って」
「世の中には知らなくていいこともたくさんあるんだよ」
渡された二人三脚用の紐で足首を固定する。
「コケるなよ」
「追加加点は欲しいからね」
「狙うは?」
「もちろん一等賞」
にやりと笑った彼女は、俺の唯一無二で最高の親友だ。
アイコンタクトをとると一気に加速する。
彗月は運動が得意ではないと言うが、ただの思い込みだ。
走らせればそれなりに早いし、球技もまあまあ出来る。
的確に言い表すとしたら、器用貧乏なのだ。
自分でもそのことがわかっているようで、努力でどうにもならないことは諦める質になった。