この関係を壊してでも伝えたいこと
水曜日の芽生え

とうとし

「誰もいねーの…?」


部室の中央に並べた机にはいつも、先に来た部員の私物が乱雑に置かれている。


珍しく部室には俺が一番乗りだった。


用事あるらしい彗月が居ないことは明らかだったが、誰もいないとは珍しい。


「今だよ!」


…わけではなかったようだ。


「先輩、悪く思わないでください」


「伊織!?なっ…?!!」


カーテンの影から飛び出してきた伊織は俺を羽交い締め、ダンボールの影に隠れていたもう一人は扉の前に立ち出入り口を塞いだ。


「さぁ、先輩、洗いざらい吐いてもらいましょう」


机を挟んで向かい側にはトレンチコートを着た遊が足を組んで座った。

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