この関係を壊してでも伝えたいこと


「じゃあ、もう一回口に出してみましょうよ、好きって」


諦めたように俺の背を押して窓際に追いやる。


「ほら、あそこにちょうどいるんで」




伊織が指差す方向には、木の下で誰かを待っている様子の彗月がいた。


「何やってんだ?」


三階にある部室からだと下にいる彗月がよく見える。


「放課後、校舎裏、呼び出しと言えば?」


「喧嘩」


「告白ですよ!」


掴みかかってきそうな遊を伊織がたしなめる。

へぇ、彗月が告白ねぇ…

外せない用事ってこのことかよ。



そんなの彗月がわざわざ待ってなくなっていいだろ。

てきとーに断って部室に早く来たらいいのに。


モヤモヤした得体のしれない感情に胸の中に溜まって息が苦しい。

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