この関係を壊してでも伝えたいこと
「緑川って掃除好きなの?緑川が日直だとすぐわかるよ」
「綺麗になると嬉しいし…好きかな?」
「チョークがちゃんと補充されてるとか、こうやってプリントを張り替えるところとか」
彼に褒められると、嫌味に聞こえないので不思議だと思う。
「ありがとう」
面と向かって褒められることがないのでなんだか、くすぐったい。
「じゃあ、桃は?家にたくさん届いたから…持って行こうか?」
「好きだよ、くれるの?ありがとう」
「数学は?俺少し苦手」
「点数が取れるから好きな方かな」
「じゃあ…」
白鳥は一体何を始めたのか。
あれは?これは?と尋ねてくる割には、私の好物だったり特技だったりと、わかりきっていることばかり聞いてくる。
暇なのであまり深く考えずにプリントを画鋲で止めながら質疑応答を繰り返す。
「好きだよ」
「じゃあ、凛は?」
「好きだよ」
「あはは、即答」
私に背を向けて、外したプリントをまとめて資源ごみのダンボールに突っ込む。
「当たり前でしょ?親友だもん」
「ふーん…」
パラパラと窓に雨が当たる音がする。
そうか、今日は台風が接近するから早く帰ろうと思っていたんだった。
結果的に遅くなっちゃってるんだけど。
「ねぇ、しら…」