この関係を壊してでも伝えたいこと
「そんなに警戒しないで、そろそろ帰ろう」
自然と伸ばされた手は私の手を包みゆるく握った。
振り払えばよかった。
何かを企んでいるのはわかっているのに、そこに混じった不安を感じ取ってしまった私は見捨てることができなかった。
「こうやって手をつないで歩いてると付き合っているみたいだ」
私に話しかけているのか独り言なのか、返事をしない私に遠慮することなく続ける。
「…凛に誤解されるのは嫌?」
「なんでそこに凛ちゃんが出てくるの」
普通に質問したつもりだったのに、かなり不機嫌そうな声が出だ。
「緑川は凛のことが好きだから」
「…別に好きなんて言ってないよ?」
白鳥は口が硬いからここで認めても、凛ちゃんに伝えられることはまず無い。
言わないでね、と言えば約束は守ってくれるはず。
それでも認めることが出来なかった。
ずっと自分で自分を欺き続けた結果、この気持ちが罪であるように思えてしまったのだ。