この関係を壊してでも伝えたいこと

「人多いな」


「こんなに混むんだね…」


にぎやかな屋台の並ぶ通路は、狭いうえに人でごった返していてうまく前に進めない。


「凛ちゃん、ごめん待って」


学生の大群に押されて後方へジリジリと流されてしまう。


背中がどんどん遠くなって、私達の今の距離感を示しているようだ。




このまま一人で花火を見るのも悪くない。


どうせ空を見上げるんだから一人だろうが二人だろうが同じ。


震えるスマホを取り出すと凛ちゃんからの着信がきていた。


「凛ちゃん?今どこにいるの?」


「橋の方まで流された、悪い。向かえに行くわ」


「大丈夫だよー、今はコンビニの前」


「わかった。すぐ行くから動くなよ」


「はーい」

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