この関係を壊してでも伝えたいこと
開いた口は軽口を叩くことなく、上ずった声が出た。


拒否する隙もなく右手が長い指に絡めとられ、薬指にリングがはめられてしまう。


「たぶんこのサイズだろ」


満足そうな声が耳のすぐ隣でして悲鳴をあげそうになり、手で口を抑えて飲み込んだ。


凛ちゃんは私の肩に顎をのせて後ろから覗き込んでいる。


ちゃっかり腰に片手を回して空いている方の手で違うでサイズのリングをあさっている。



彼から全く下心を感じないからホッとするような、自分に自信がなくなるような。
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