ときのいたずら
そして一番静かな声で怒りを含んだ声が告げる

「なんの真似だ」

「それはこちらのセリフです。なぜこの人がここにいるんですか?
多勢に無勢で暴力まで振るうなんて最低です!」

そんな事を織田信長に言ったからだろうか……周りからは息を呑む音が聞こえた

私はそう告げると後ろにいた人の縄を解き、肩を支えながら部屋の外へと出る。

「私もここを出ていきます。一晩泊めてくださりありがとうございました。」

失礼します、と告げその部屋へ背を向け歩き出した。

それから小一時間
……案の定迷子である。


さっきから同じところをグルグル回っている気がする

「なぁ、ここさっき通らなかったかい?」
図星をつかれた男の言葉に何も言い返せず汗をかく

そんな私の様子に男は呆れたように告げる

「さっきの曲がり角を右に行くと下に続く階段がある、そこを下り兵のいるもんをくぐれば城の外だ」


「えっ?!」

知ってるの?というふうに聞き返してみれば

「まぁ、元々はここの兵だったからな」と告げられた


そんな男の言葉を信じながらも進むと兵がいるところまで着いた

「名を名乗れ」(門番)

「……井上真帆です」

「誰だそれは、そんな名は知らぬ!」

そう言うと兵士は私に薙刀を構えてきた

しかしすぐに近くにいた兵にいさめられる
「やめろ!この方は昨日御屋形様が連れてきた天女だ!丁重に扱えとのご命令だ!」

…………はい?天女?なんじゃそりゃ

「そ、そうとは知らずに申し訳ございませぬ!」
御屋形様という名前が出たあとの兵の行動は素早かった
「どうぞ!お通り下さい」

そして私たちは無事に城を抜け出せた


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