ときのいたずら
「…礼を言う。お前がいなかったら俺は殺されていただろう」

「別に、アンタを助けようと思ったわけじゃない。あの猫に心の底から謝ってないのに死なせるわけには行かなかったからよ」

「そうか、命の恩人の友を俺は殺してしまったのだな。すまないことをした、最近は戦戦(いくさいくさ)で年貢も多くなってみんな憤っていたんだ。出来ることがあるならする。それがあの友への罪滅ぼしだと思ってな」

「そうか、わかった。なら一つだけ頼みがあるの。私たちが最初に出会ったあの場所に行きたい。あそこにはまだ猫の墓があるの、おねがい連れてって」
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