ときのいたずら
おかしい……そう明らかにおかしいのだ


今まで続いていたアスファルトの小道が無くなっていたのだ


変わったのは小道だけではない、いつの間にかたくさんの木で囲まれていた


見慣れたものと言ったら猫と今まで登っていた木だけだった

木登りをする際に木の下に置いてきた荷物もいつの間にかなくなっている


…盗まれたのかな?と考えていると不意に木の裏から声がした


「大丈夫かな?すごい音がしたから駆けつけてみれば。……そうか、木から落ちてしまったのか。怪我はないかい?」



声がした方を振り向くと着物を着た上品そうで優しそうなおじさんがこちらを心配そうな瞳で見ていた


そんな瞳に安心感を覚えた私は笑顔で

「大丈夫です」と答えた


そんな私におじさんも安心したのかほっと息を吐いた


「猫が木から降りられなくなってて助けようとしたら落ちちゃいました笑でも、この子が無事でよかった」


「そうか、お主にも怪我がなくてよかったわい」

わははと豪快に笑いつづけておじさんは言った


「こんな時間に女子(おなご)1人で出歩くのは物騒だというものだ、どれ、わしが家まで送ってやろう」

空を見ると紅い空を黒い空が呑み込もうとしている所だった

そんなおじさんの申し出に私は

「大丈夫です。おじちゃんも夜遅くに歩くと怪我をしちゃいますから気をつけてくださいね笑」


「おじ…?!っ……わははははおじちゃんか。わしももうそんな歳か笑」


「にゃ〜ん」

突然猫が鳴き出して私の腕からもがき出るとどこかへ行こうと歩き出していた

ここがどこかわからない私はとりあえず猫について行ってみることにした

「おじちゃん!私ももう行くね、またね!笑」


「そうか、お主との会話中々楽しかったぞ。最近はどこもかしこも戦で、夜も危険じゃから気をつけるんじゃよ!」
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