コイゴコロ




『花梨ちゃんも嬉しいよね!!俺も!!』


クラス発表の紙が、掲示板に張り出されて。

アタシはここから動けそうにありません。


なんで。

なんで。


「あんたと一緒のクラスなの!!」

『赤い糸で結ばれてるからだよ★』


目の前でスカした顔をしているこいつを、殴りたい。


如月翡翠(キサラギヒスイ)

アタシと同じ、高校3年生。


こんな厄介な奴と知り合ったのは、1年前で。


[ね、俺の彼女になってよ。]


初対面で告白をされた。


[何で知らない奴と付き合わなくちゃいけないのよ。]


アタシが当たり前のことを言うと、


[え、俺のこと、知らないの?如月翡翠だよ。]

[あ、聞いたことある。]


友達が騒いでたっけ。

何か、可愛いとかで、今、学園のアイドル……らしい。


[翡翠って意味知ってる?人生の幸運。]

[……何が言いたいのよ。]


アタシの問いかけに、彼は自信満々の顔で、


[だから、絶対、俺に惚れるから。]


なんて言ってきた。


うん。

そうそう。

バカだよね。



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