コイゴコロ
可愛いんだもん。
それは、皆言ってるし、アタシもそう思う。
気分悪い、なんて言われたって。
アタシだって、困るよ。
『あ~あ。如月君、傷ついちゃった。』
美紗が再び話しかけてくる。
「傷ついた?なんでよ。」
『花梨も気づいてあげなよ。』
「何に気づくのよ。」
『男心ってやつにさ。』
男心って何さ。
可愛いのは事実だし、
皆言ってることなのに。
なのに、なんでアタシはダメなの?
『花梨が好きだから、だよ?』
男心って、よくわかんない。
全然わかんない!!
『受け止めてあげれば?』
受け止めるって。
「……付き合うって事?」
『そ。きらいじゃないでしょ?如月君。』
・・・嫌いじゃないのかな。
ってことは、好きなのかな。
アタシが、翡翠のことが好きなの?
――いやいやいやいや。
それだけは無い!!
でも、翡翠に気分悪いなんて言われたの、
初めてで、冷たくて。
・・・嫌だった。
それに、
そう言った翡翠は、男の子の顔で。
いつもの可愛い翡翠じゃなかった。