dream
ピエロ
居間に飾られた小さな鏡で化粧をする私。下地を塗ってファンデーションを手に取ったとき、鏡越し、私の背中の方にふっと何か見えた気がした。恐る恐る振り返るが…特に何もない。一息つくとまた化粧を再開する。
鏡をみると。ピエロ。私の方に手をかけてニタァと笑うピエロ。あまりの恐怖に悲鳴をあげる。その瞬間、部屋の電球がチカチカと明暗を繰り返す。
斜め後ろにある洗面台の鏡。向かいの食器棚のガラス。姿が映るもの全てに目を向ける度、恐ろしくピエロが笑いかける。目線をどんなに変えようともどんどんピエロの顔が大きく映る。最後は鏡いっぱいの大きさで笑っている。
私の悲鳴でやってきた隣のおばあちゃん。私の状況を見て、何が起きているのかすくに察し念仏のような呪文を唱えだした。ピエロは少し険しい顔をするも、一瞬目を見開くと電球が風船のように簡単に割れ、破片が飛び散る。と同時に、おばあちゃんが気を失い倒れる。私は側に駆け寄り息をしている事を確認する。ゆっくりと鏡の方を向く。写っていたのは…私の姿だった。
「ずっと見てるよ。」
後ろから聞こえてきた。