dream
狂気な彼女


薄暗い教室。窓からは満月が雲の隙間から顔を覗かせている。教室には、椅子が二つ。一つは今、わたしが座っている。もう一つには、髪が長く、同じ制服を着た女の子がうな垂れるように座らせられていた。だが、その姿はおかしい。体と椅子が縄で何回もぐるぐるとまかれ、動けないようにされている。

「ねぇ、大丈夫?」

声をかけるが反応はない。あまりの静けさと微動もない彼女に気味悪さを感じながら私は席を離れ、ドアを開けようと手をかける。開かない。

「誰かいませんか?」

いないとわかっていいながらも大声で叫ぶ。わたしの声が木霊するだけ。教室を見渡し、縛られた女の子に近づく。起こそうと方に手をかけようとしたとき、

バッ

彼女が目を見開き、ニタリと笑いながら私を見た。言葉を発する訳でもなく、彼女はずっと笑い私を見つめながら体をゆすり、縄から逃れようとする。ガタガタと椅子が激しく動くが、抜け出すのは無理そうだ。私は、驚きで声も出なかった。彼女から少し距離を置く。笑いながら暴れ狂う様はまるで悪魔に取り憑かれているかのようだ。逃げられない状況に呆然としていると、

ドンドン
「大丈夫か?」

ドアを叩く男性の姿が見える。
私は、ドアに駆け寄り思いっきりあける。

「助けてください!」

目の前には、誰もいなかった。すぐに後ろを振り向くと、縄が解けすっと立ち上がる彼女。一歩一歩私の方へ近づいてくる。外に出ようとするとドアが思いっきりしまり閉じ込められる。教室の中を必死に逃げ回る私。あははと声を出し、笑いながら近づいてくる彼女。恐怖と焦りで足がもつれ、転ぶ。彼女は私の前で立ち止まり座りこむ。

ガッ

彼女は私の腕を強く掴み、あの笑顔で私を見る。悲鳴をあげると目の前が真っ暗になった。



Fin

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