dream
traveling




『着いたー!ハワイ!』
「楽しそうだな。はしゃぎ過ぎでしょ。」
『だって…こんな風に旅行なんて、なかなか出来ないもん。普段は仕事で忙しいし…。』
「じゃあ、今日はたくさん楽しむか!」
『もちろん!』

いつもテレビの仕事で忙しい彼。たまたまとれた休みを使ってリゾートにやって来た。いつも会えない分、今日はたくさん楽しんでいっぱい甘えるんだから。ホテルに到着してから部屋で一休み。

『疲れた。荷物が多すぎて…』
「本当、土産も買ってないのに多過ぎな。」

ベッドにダイブする私を尻目に涼介が苦笑いする。二十畳程のワンルームに広めのベッドが二つ。アカプルコブルーの壁にベッドの白さがよく映える。一息ついてからまずはショッピング。ハワイ特有の服や食べ物を楽しむ。二人の時間はあっという間に過ぎていった。サンセットが目立ち始めた頃、一度ホテルに戻り水着に着替える。

『夕方に入る海なんてなんか不思議な気分。』
「そうだな。それより、まーだー?美香の水着姿、早く見たいんだけど?」
『ちょっと待って。無理。そんな急かされるとひも結べないでしょ。』
「俺が結ぼうかー?」
『バカ。もうちょっと待ってて。亮介は着替えたの?』
「もちろん。スッと脱いでスッと履くだけだからね。」
『いいですよね。簡単で。』
「その話はもういいからさ、もう開けるからねー。拒否権はありません。」

そういうと涼介は思いっきりバスルームのドアを開ける。

『ちょっと待ってよ!卑怯!反則!もう、バカ!』
「結べてるし…可愛いじゃん。」 

美香の細くも肉付きのいい体が水着を身にまとうことで可愛さと色っぽさを醸し出している。

『あまりじろじろ見ないでよ!恥ずかしい…から。』
「やだね。ずっと見てる。ずっと…。」

いやらしくも真面目にさらっという涼介に赤面せずにはいられなかった。C
海ではしゃいだ後、海辺に建てられている屋根なしのカフェブースで飲み物を飲む。

『ねぇねぇ、もうCおっと泳ごうよ!』
「今は、ダメ。もうすぐ楽しい事が起きるからね〜。」

いたずらに涼介が笑う。私ははてなマークでいっぱいだ。泳ぎたい気持ちを抑えつつも何があるのかドキドキしていると、周りの電気が消え、音楽が鳴り出す。

『すごいね!』
「おう!」

二人で家を見合わせるとまた前方に目線を戻す。綺麗さと凄さにみとれながら見入っていた。すると、

「…か。美香!」
『ん?』

涼介に呼ばれて振り向くと私の目の前は真っ暗になった。
ちゅっ

『え?あっ…え?何?』
「ふふっ」
『(顔熱いんですけど…。)』

あたふたする私を見て、笑う涼介。両手で頬を挟み、手で熱をとっていると、耳元で

「可愛すぎんだよ。また一緒に来ような。」

そう呟いた。バッと涼介を見るとにっこり微笑んでいる。恥ずかしさのあまり声が出せず、何度も頷く事しか出来なかった。





traveling/終
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