熱帯魚とリグレット
「絶…っ対、今日のスウおかしいわよ」
「しかも『好きなひとと会いたい』だもんね」
一体どうしちゃったのさ、と2人はジュースを飲みながら口々に思ったことを言葉にしていく。
「そ、そんなに変だった?」
慌てて尋ねたら、2人は「んー」と考えこんだ。
「変っていうか、可愛いよ!」
「ほんと恋する乙女って感じ」
かーわーいーいー、とニヤニヤされたって嬉しくはない。
「スウ、好きなひとがいるの?」
周りのスタッフには聞こえないくらい小さなメイの声。
私はばれないように小さく頷いた。
「なになに、彼氏?」
「ううん、片想い」
リナの声に、私は俯きながら少し微笑んだ。
「私が上京してからずっと会えなかったんだけど、今東京にいるの。
でも今日の7時の汽車で地元に戻るんだって」
はは、と顔をあげて笑ってみた。
自分でも驚くほど乾いた笑いだった。