熱帯魚とリグレット
『はい、もしもし』


数秒後、彼が電話に出た。


「あ、も、もしもし! あの、私、スウだけど!」

『うん、知ってるよ』


彼は面白そうにクスクス笑う。


それで私は気が楽になって、自然と体は歩き出していた。


ここにいるはずのきみを探して。


「今、東京駅にいるの!」

『え、本当?』

「ねえ、今どこにいるの」


私は必死に尋ねるのに、彼はクスッと笑った。


『どこって、きみの目の前だよ』


「え?」


びっくりして顔をあげると、そこには。


「久しぶり」


ケータイを片手に微笑む彼の姿があった。


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