熱帯魚とリグレット
「ずっと応援してるから」


彼は「じゃあね」と笑顔で手を振ってホームに向かった。

「じゃあね」と私も笑顔で手を降りかえした。


……今、このまま別れたら、次いつ会えるだろうか。


1ヶ月? 半年? それとも、この先ずっと?


それを考えると悲しくて苦しくて涙が溢れてきた。


うつむいていると、「あ」と彼が足を止めてこちらに向かってきた。


何だろうと思って顔を上げると、彼の手が頬に添えられてきれいな彼の顔が近づいてきた。


そしてそのまま唇がそっと重なった。


顔を離すと彼はニッと笑って「忘れ物」と言った。


私は目を見開いた。


ぼぼっと顔に熱が集まるのを感じた。



「今度こそ、またね」




彼はさっきまでのことがなかったかのように穏やかに微笑んでホームに向かった。


私はその後ろ姿が見えなくなるまでずっと見つめていた。








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