熱帯魚とリグレット

次の日、朝。


「おはよう」

「おはよーございまーす…」

あくびを噛み殺しながら挨拶すれば「しゃんとしなさい！」とマネージャーさんに怒られた。

そうは言われても午前１時起きなんだ、睡眠時間は５時間だ。ちっとくらい多めに見てほしい。


私は一つ深呼吸をすると自分の顔をパンパンと二回叩いて気合を入れて、昨日の電話を思い出した。


そうだ、昨日はあの人が電話をくれたんだ。

元気をもらったんだ。


だから今日も、頑張れる。


それから雑誌の撮影は５時間続いた。


洋服を着て、メイクをしてもらって、髪もセットしてもらって、ポーズを決めて撮影してもらったら、また別の洋服を着て。


ぐるぐる、ぐるぐる、同じ作業の繰り返し。



華やかに着飾ってはぐるぐる回る、まるで水槽の中の熱帯魚みたいだ。