今ならやり直せる
「華さんか、良い名前だ」

チケットを抽選箱に放り込み、昂ぶる感情を抑えるように頬を軽く叩く。

さっそく明日ランチに誘ってみよう。“善は急げ”だ。

お気に入りのあの店に連れて行こう、あそこなら気に入ってくれるだろう。

まさか、彼氏は居ないよな。居れば断るだろうし、指輪もしてなかったから大丈夫だろう。

今まで、何人かの女性と付き合ったが、どれもうまく行かなかった。

相手が自分の事を本当に好きなのか、どうしてもわからなかったし、自分そのものを好きになって欲しかった。

そういう人とは、なかなか巡り会うチャンスもなく、仕事ばかりに打ち込んできた。

しかし、初めて華さんを見たときに、何か運命的なものを感じ心を揺り動かされた。

何となく寂しげな印象と、内に秘めたる強い意志が混在していて、惹きつけられ、その理由はわからないが、もう少し相手のことを知って、この思いを確認したかった。

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