今ならやり直せる
女性が好んでいくカフェに若葉を連れてきた。

テーブルに着き、メニューを見ながら真剣に悩んでいる。

華ちゃんに見られてしまったな。勘違いしているだろうか。参ったな。

「ねぇ、つーちゃん、ボーとしないでよ」という声で我に返る。

「あ、ごめん。決まった?」

若葉は、猜疑心丸出しの目で見ている。

「ははーん、あれが、つーちゃんの好きな人だ」

意外と鋭いと思ったが、俺の動揺振りを見たらすぐにわかるだろう。

「つーちゃん、慌てていたよね。私の手を強引に振りほどいちゃってさ。あの女も走っていくって、高校生かよ」と笑う。

「彼女を馬鹿にするんじゃない」

「あー、図星なんだ。ふーん。あーいうのが好みなんだ」と悪びれる様子もない。

「つーちゃん、好み、変わったよね。今まで派手で美人系ばっかりだったのに。地味だし、暗そうだし」

「若葉、話したこともないのに、そんなこと言うんじゃない」とたしなめるが、華ちゃんがどう思ったか気になって、話が入ってこない。

ランチを食べ終えると、若葉は店を出て

「用事があるから、あとで帰る」と言ってホテルと反対側の方向へスタスタと行ってしまった。

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