今ならやり直せる
運命の人
仕事場では、名前が大木から三島（ミシマ）になり、少しざわついたが、人の噂も七十五日とはよく言ったもので、誰も何も言わなくなっていた。

離婚はしたが、会社の社員さん達からは

「華さん、まだ二十八歳なんでしょ？　一回結婚できたのだから、羨ましいわ。それにまだ結婚出来る年齢なんだから、ずるいわ」と励ましてくれた。

自分でも、良い経験をしたと思っている。

他人からすれば、酷い結婚生活だと思われるかも知れないが、夫の事を悪い人だとは思えなかった。今では他人の
評価は気にならない。自分自身がわかっていればそれでいいのだ。

最近、決まった花束の注文ではなく、オーダーの注文が増えてきていた。

「女性にプレゼントする花束を女性目線で作って欲しい」

「季節の花を予算内で花束にして欲しい」

「お見舞いに行く為の花束を選んで欲しい」など、そういう注文が入ると、社員さん達は、皆、華の所に持ってきた。

それは本当に嬉しかったし、やりがいもあった。

倉庫に花を見に行き、相手のことを考えて花を選ぶ。今まで、自分中心な考えをしていたが、相手のことを思うのが、こんなに自分をも幸せにするものかと実感していた。

剛君とは、あれ以来会っていないので、半年くらいになる。

ホテルからの定期注文はあるが、配達があっても、他の社員さんに頼んでいる。

離婚したからと言って、剛君にいくのは、違うと思うし、今までの自分では恥ずかしい。あの最後に会った日に、剛君が話してくれたことで、今の自分がある。本当に感謝している。
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