今ならやり直せる
大木部長と大龍房に行く日がやってきた。
ディナーのコースを予約してあるので、夕方、家の近くまで車で迎えに来てくれるらしい。
予想通り、同級生が乗るような車ではなく、落ち着いた大人がチョイスする少し高めの車だった。
いつもスーツ姿に見慣れているので、少し若く見える。
車を降り助手席の扉を開けられて驚いた。
こんなエスコートをしてもらったのは初めてだし、とても紳士的で好感度が上がる。
目的地に着くまで車内は静かだったが、心地よい音楽が流れていて、会話が無くても気にならなかった。
年の変わらない恋人なら、会話が下手、話題がないと感じただろうけど、二十歳も上だと、余裕があるのかと感じてしまった。
後から考えれば年齢は関係ない。若くても会話が下手な人もいるし、どれだけ年上でも、二人の時間を会話で楽しませる事も出来る人がいる。
その時は気付かなかったのだ。
目的地に近づくと、どんどん森は深くなり、本当にこんな所に店はあるのだろうかと疑いたくなるほどだ。
しかし、急に視界が広がり、見たこと無いような風景に目を奪われた。
本当に中国に来ている錯覚を起こしそうになるほど、精巧な建物と中国式の庭がそこにはあった。
駐車場に車を止め店まで歩くようになっているが、道の脇には瀧や、鯉の泳いでいる池があり、飽きることはない。
昔、彼氏とテレビを見ているときに、この店の映像が映り「ここに行きたい」と言うと鼻で笑われた。
こんな高級店に、大学生はとても来られないからだ。
店内も煌びやかな装飾品で溢れているが、決して下品ではなく高貴なものを感じる。
完全予約制のため、席に着くと何も言わなくても前菜が運ばれてきて、スムーズに食事がすすむ。
ガラスの向こうには庭園が一望でき、宮廷にでも来ているような錯覚に陥る。
こんな景色が見られるならば、料理は少々不味くても流行りそうだが、その料理も絶品なのだから、予約が取れないのは当然だろう。
大木部長は、終始黙って料理を頂き、華が美味しそうに食べるのを時々笑いながら見ていた。
デザートは別席で用意され、その席はテラス席になっており、そこからは、また別角度からの風景が広がり、美しさに溜息が出た。
最近、年の離れた男性と結婚する話をよく耳にするが、全く興味がなく、自分には関係ないと思っていたが、その理由はここなのかと理解し始めていた。
それは、財力と精神年齢かもしれない。
こんな高級店の支払いも心配しなくても良いし、払わなくても心苦しさはなく、反対に相手は奢ることに嬉しさを感じている。
今まで恋人が居ても、細かいことで喧嘩になり、相手の欠点が目につき、相手に指摘されるとそれらいが許せないのかと人間の小ささに冷めていった。
大木部長は、一度も愚痴や文句は言わないし、華に対しても優しかった。
居心地の良い空間がそこにはあった。
夢心地で食事を終えると、大木部長は庭を散歩しようと誘ってくれる。
華の好きな、季節の花々が咲いており、中国の珍しい草木にも興味を示し、丹念に見て回った。
大木部長は文句一つ言わず、付き合ってくれる。
これが、大人のデートなのかと少し高揚した。
ディナーのコースを予約してあるので、夕方、家の近くまで車で迎えに来てくれるらしい。
予想通り、同級生が乗るような車ではなく、落ち着いた大人がチョイスする少し高めの車だった。
いつもスーツ姿に見慣れているので、少し若く見える。
車を降り助手席の扉を開けられて驚いた。
こんなエスコートをしてもらったのは初めてだし、とても紳士的で好感度が上がる。
目的地に着くまで車内は静かだったが、心地よい音楽が流れていて、会話が無くても気にならなかった。
年の変わらない恋人なら、会話が下手、話題がないと感じただろうけど、二十歳も上だと、余裕があるのかと感じてしまった。
後から考えれば年齢は関係ない。若くても会話が下手な人もいるし、どれだけ年上でも、二人の時間を会話で楽しませる事も出来る人がいる。
その時は気付かなかったのだ。
目的地に近づくと、どんどん森は深くなり、本当にこんな所に店はあるのだろうかと疑いたくなるほどだ。
しかし、急に視界が広がり、見たこと無いような風景に目を奪われた。
本当に中国に来ている錯覚を起こしそうになるほど、精巧な建物と中国式の庭がそこにはあった。
駐車場に車を止め店まで歩くようになっているが、道の脇には瀧や、鯉の泳いでいる池があり、飽きることはない。
昔、彼氏とテレビを見ているときに、この店の映像が映り「ここに行きたい」と言うと鼻で笑われた。
こんな高級店に、大学生はとても来られないからだ。
店内も煌びやかな装飾品で溢れているが、決して下品ではなく高貴なものを感じる。
完全予約制のため、席に着くと何も言わなくても前菜が運ばれてきて、スムーズに食事がすすむ。
ガラスの向こうには庭園が一望でき、宮廷にでも来ているような錯覚に陥る。
こんな景色が見られるならば、料理は少々不味くても流行りそうだが、その料理も絶品なのだから、予約が取れないのは当然だろう。
大木部長は、終始黙って料理を頂き、華が美味しそうに食べるのを時々笑いながら見ていた。
デザートは別席で用意され、その席はテラス席になっており、そこからは、また別角度からの風景が広がり、美しさに溜息が出た。
最近、年の離れた男性と結婚する話をよく耳にするが、全く興味がなく、自分には関係ないと思っていたが、その理由はここなのかと理解し始めていた。
それは、財力と精神年齢かもしれない。
こんな高級店の支払いも心配しなくても良いし、払わなくても心苦しさはなく、反対に相手は奢ることに嬉しさを感じている。
今まで恋人が居ても、細かいことで喧嘩になり、相手の欠点が目につき、相手に指摘されるとそれらいが許せないのかと人間の小ささに冷めていった。
大木部長は、一度も愚痴や文句は言わないし、華に対しても優しかった。
居心地の良い空間がそこにはあった。
夢心地で食事を終えると、大木部長は庭を散歩しようと誘ってくれる。
華の好きな、季節の花々が咲いており、中国の珍しい草木にも興味を示し、丹念に見て回った。
大木部長は文句一つ言わず、付き合ってくれる。
これが、大人のデートなのかと少し高揚した。