日帰りの恋
 きっと、いつもと違う服装だから。
 
 大人っぽくて、女らしいデザインのワンピ。
 それに、今日は少しだけ丁寧にお化粧してる。控えめだけど、胸元にアクセサリーもつけていた。

 真山らしくない――

 そう感じているのだろうが、それにしても彼は見すぎである。
 私は急激に恥ずかしさを覚えた。

「ひ、久しぶりのお出かけだから、その、嬉しくて……」

 つい、そんなことを口にしていた。
 言いわけする自分に、自分が困惑する。

 お出かけが嬉しいのは本当だけど、この服装に決めたのはそれが理由じゃない。
 オトナのお洒落をしたのは、オトナであるこの人のためなのに。


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