日帰りの恋
(それにしても、道中でいろんなものを買い集めるって、一体何を買うんだろう。車が賑やかになるほどって? 自動車道を往復ドライブするだけだから、パーキングエリアとサービスエリアのお店しかないよね。それとも、古瀬木インターで降りてから、あちこち寄るとか?)

 車は高速道路にのった。

 本線に出ると神田さんはアクセルを深く踏み込む。
 ぐんと加速し、それにともなう圧力には、有無を言わせぬ強引さがあった。


 ――黙って俺について来い。


 と聞こえた気がするが、もちろん空耳だろう。

 だって職場での神田さんは、そんなタイプではない。

(でも、プライベートでは違うのかな)

 これは仕事ですか、それとも……
 横顔を窺っても、よくわからない。

 謎が深まるなか、ドライブは本格的にスタートした。
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