日帰りの恋

（プロポーズって、あのプロポーズですか？　結婚して下さいっていう、あの……）

「すまない、いきなりこんなこと」
「あ、いえ、そんな」

　とは言うもののさすがにびっくりして、どう返せばいいのかわからない。

　結婚だなんて。
　結婚だなんて。

　付き合うとか、恋人とか、全部すっ飛ばして――
　唐突すぎる展開だもの。
　
　ただ焦るばかりの私に、神田さんは言葉を継いだ。

「真山をひと目見て、『ああ、好きだなこの子』って感じた。キューちゃんが言ったように、君は俺が好きなタイプなんだ。ちょっと頼りないけど、真面目そうなところがね。長い付き合いのキューちゃんはそこのところをよくわかってる。だから、あんなことを……」

　――ついに結婚、決めたんだなあ！

　そして神田さんは、キューちゃんの言葉を否定しなかった。
　何てことだろう。
　
「びっくりさせたと思う。あの時は俺も舞い上がってて……すまなかった」

　神田さんは気まずそうにするが、その気持ちを私は理解することができた。
　今、私も舞い上がってますから！