くちづけ~年上店長の甘い誘惑~
「あの夜を忘れたと、あなたはそう言いたいのですか?」

答えることができないでいたら、藤岡さんが言った。

「――あ、あの夜…?」

それはどう言う意味なのだろうか?

あの夜って、何のことを言っているの?

一体、この人は何の話をしているのだろうか?

そのことにも戸惑っていたら、
「僕の質問にはっきりと答えたらどうなんですか?」

藤岡さんが言った。

彼の骨張った指が私のあごに触れて、クイッと顔をあげられた。

「――あっ…」

また私に触れてきた。

ここまでされてしまったら、藤岡さんからもう離れることができない。
< 22 / 55 >

この作品をシェア

pagetop