くちづけ~年上店長の甘い誘惑~
「あなたの泣いている姿はもう見たくない」

「――えっ…」

私のその声は、彼が唇をふさいだことによって消えてしまった。

もしかしなくても…私、藤岡さんにキスをされているの?

何で?

どうしてなの?

何があって、藤岡さんにキスをされているの?

全く理解することができなくて、自分でもどうすればいいのかよくわからない。

藤岡さんの唇が私の唇から離れた。

「――桃葉さん」

藤岡さんが私の名前を呼んだので、
「――えっ…?」

私はまた聞き返した。

何で私の名前を知っているの?

自己紹介をしたと言えばしたけれど、その時は“京極です”と自分の名字を彼に名乗ったはずだ。
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