くちづけ～年上店長の甘い誘惑～
藤岡さんがやってきて、今日で２週間を迎えた。

その間、私は何とも言えないモヤモヤとした感じに包まれていた。

藤岡さんのことが全くわからない――私を支配しているモヤモヤの原因は、ただそれだけだった。

あの夜のことがあってなのか、藤岡さんは私をただの従業員として接している。

そんな彼に対して私は何も言うことができなくて、ただの上司として接した。

キスをすれば思い出すかも知れないって、どう言うことなんですか？

“あなたの泣いている姿はもう見たくない”って、何のことを指差しているんですか？

言いたいことはたくさんあるけれど、何事もなかったかのように接する彼にあわせることしかできなかった。

「――もう訳がわからないよ…」

藤岡さんが何を考えているのかわからない。

やっぱり、私のことをからかっていたんだ…と、私はそう自分に言い聞かせて支配しているモヤモヤ感を消した。
< 28 / 55 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop