くちづけ~年上店長の甘い誘惑~
「あの…」

そう言った私に、
「詳しいことを話した方がよさそうですね。

あなたは本当に、あの夜のことを覚えてないみたいですから」

察したと言うように藤岡さんが言った。

藤岡さんと一緒に店の奥に入って、そこに用意されていた椅子に腰を下ろした。

「どうぞ」

カチャッと、テーブルのうえにコーヒーが入ったカップが置かれた。

「ありがとうございます…」

私はお礼を言うと、コーヒーを口に含んだ。

「その日はイギリスから帰国したばかりで、買い物をするために外に出ていました。

買い物を終えて晩ご飯を済ませて自宅へと足を向かわせていたら、とある店を見つけました」

藤岡さんが話を始めた。
< 43 / 55 >

この作品をシェア

pagetop