くちづけ~年上店長の甘い誘惑~
こんなことはマンガかドラマの中だけだと思っていたけれど、まさか自分がその立場になってしまうとは…。

そんなことよりも、まずは自分の身を確認することが先である。

服は着ているし、下着もちゃんと身につけている。

うん、セーフだ。

襲われたと言う形跡もない。

さっきまでモソモソと動いていた物体の動きは止まっている。

アウトと言えばアウトだし、セーフと言えばセーフである。

先ほどまで感じていた頭痛はもうどっかに飛んで行ってしまった。

自分の身が無事だと確信したその次は、
「――逃げなきゃ」

ここから逃げることである。

自分が今まで座っていた場所――ベッドのうえから下りると、昨日は持っていたはずのカバンを探した。

ソファーのうえに置いてあった自分のカバンを手に取ると、飛び出すようにこの場所から逃げ出した。
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