夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
みんなの視線が私からヴァロンに向けられる。
私も少し顔を上げて彼を見ると、
周りを鎮める様に優しく微笑んでいた。
私を、助けてくれた…。
助けてくれる為にそう言ってくれた。
…分かってる。
……でも。
”彼女なんていませんよ”……。
少しだけ、
その言葉が悲しくて…寂しくて……。
ズキッと痛む胸を押さえて、私はまた俯いた。
すると…。
「だって、僕はもう結婚してますから。」
!……。
……え?…っ……。
私の耳に、
信じられない言葉が…聞こえた。
ザワッと厨房内がまた騒がしくなる。
…ヴァロン?
い、ま…なんて……っ。
呆然と俯いたままの私の元に、
聴きなれた愛おしい足音が近付いて来る。
「…ね?アカリ。」
その呼び掛けにゆっくり顔を上げると…。
私の見上げた先には、いつもみたいに少し首を傾けて微笑むヴァロンの姿があった。