夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】

「……アカリがさ、泣いたんだよね。」

固まった様に動かない僕に、
ギルさんは姿勢を正すと話し出した。


「俺は彼女が望むなら、いくらでも新しいの買ってあげるんだけどさ…。
あの指輪じゃなきゃ、駄目なんだよね。
アカリの笑顔は、
あの指輪じゃなきゃ取り戻せないんだ。」

彼はそう言うと、
僕に向かって深々と頭を下げた。


「…お願いします。
指輪、返して下さい。」

その姿に…。
いつの間にかギルさんに対するイラつきが消えていた。

……。

分かってたよ。
ホントは、ギルさんが悪い人じゃないって…。

同じ男なのに、僕とは何もかもが違って…。
悔しかったんだ。

格好良くて、同性の僕にも優しくて…。
仕事でもたくさん助けてくれて…。

何より、
妻だと紹介されて幸せそうに微笑むアカリを見た時…。
彼には敵わないって、分かってた。
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