夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
「……あ。」
呆然とする僕。
「……うわ。マジか。
すげ〜お約束な展開だな。」
苦笑いしながらギルさんは指輪が落ちた水面を見降ろす。
「っ……ど、どうしよう!
す、すみません…っ。本当にすみま……。」
「わりぃ。
これ、預かっててくれるか?」
慌てて謝る僕にギルさんはそう言うと、上着や鞄を投げる様に渡した。
その荷物の中には…眼鏡と、黒いウィッグ。
……え?
僕がハッとしたと同時に彼は橋の柵を跳び越えて…。
バシャーンッ…!!
と、下の水の中に飛び込んでいた。
「…あ、思ったより浅いわ。
冬じゃなくてよかった〜。」
そう言いながら…。
橋の上から覗き込む僕を見上げる男。
薄い栗毛色の髪に、瞳の…男。
……。
僕は、その人物を知っていた。