夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
【夢の配達人隠れ家/医療施設の個室】

「……。
俺は、何を守ってる気で…いたんだろうな?」

静かな病室でボソッと呟きながら、俺はアカリの父親ギルバートの事を思い出した。
出世よりも常に奥さんを、家庭を大切にしていたギル。
お陰で生活は夢の配達人なのにいつもギリギリそうだった。

それなのに、ギルはいつも微笑んでた。
奥さんやアカリの話を、いつも笑顔でしてた。
アカリを見ていたらそれがどんなに愛で溢れた幸せな家庭だったのか分かる。
アカリは父親の記憶があまりないと言っていたが、彼女の笑顔を見れば奥さんがどれだけギルと愛し合ってて…。
遺されて必死に生きていたのか、分かる。

家庭を持つという事。
ボーッとしてそうに見えて、ギルにはちゃんと家庭を守る包容力があったのだと思い知る。
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