夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
【その夜…。】

夕飯の後片付けを終えて寝室を覗くと、アカリはベッドで猫リディアと一緒に眠っていた。
病室ではずっと俺が傍に居て手を握ってやらなきゃ眠れない日が続いていたが、自宅に帰宅出来てようやく精神状態も安定してきたみたいだ。


「……おやすみ。」

俺は小さく呟くと、起こさない様に静かに移動して仕事机に向かった。
椅子に座って、机に頬杖を付いた瞬間…。
何故だか、溜め息を吐いてしまう自分がいた。

仕事をしなくなって一週間。
今までの自分の生活が嘘のように平穏でゆったりとした毎日。

以前は帰って来れば当たり前の様にこの机に向かって、目の前のモニターを起動させて、シュウと通信機で連絡を取りながら次の仕事の資料作成やらをしていた…。

机の上に置かれた通信機も以前の様に鳴らない。
使う事も、これから益々少なくなるんだろうな。
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