夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
アカリを守る為と思っていたのに…。
本当は、この任務に自分自身がやり甲斐を感じていた。
アカリの元婚約者のアランのやり方を否定しながら、心の何処かで奴を認めてその仕事振りを間近で見たかった。
同じ場に立って、奴に出来ないやり方を貫いて認めさせたかった。
夢の配達人白金バッジとして…。
1人の男として、俺はアランと競いたかったんだ。
「……。」
難しい仕事程、相手が強敵な奴程、燃える。
この仕事を成功に導く為の計画が、思案が次々と浮かんできてしまう。
最善の道を常に考えてしまう、自分がいる。
「……ッ。」
少しだけ…。
と、分厚い資料を鞄から取り出そうとした時…。
「ヴァロン…?」
「!?ッ……。」
突然名前を呼ばれて俺はハッとすると、出しかけた資料を鞄に押し込み声の方に顔を向ける。
アカリが、遠慮がちに少し離れた場所に立って俺を見ていた。