夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
「暫く…会えないんですよ?
子供が産まれる瞬間にだって、きっと立ち会えないのに…。」
ヴァロンがアカリさんを溺愛しているのは勿論。
子供が出来たと知ってからの彼の様子を側から見ているだけで、産まれて来る日を待ち望んでいると一目瞭然だった。
それなのに……。
「……。
必死に涙を堪えてたんだ、アカリが…。
いつもそうなんだよ、本当に辛い時は泣かない。
笑顔で俺を見上げるんだ。」
そう言葉を紡ぐ彼は、雰囲気が変わっていた。
「…休暇は終わった。
今は1日も早くアカリの気持ちに応えて帰る事しか考えてねぇよ。」
もう彼は…”夢の配達人”だ。
普段は猫の様なヴァロンが、目標という獲物を前にして豹に変わる。
ゾクゾクする強い眼差し。
やっぱり、これが彼なんだと実感する。