夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
「……。
怒ってますか?貴方の意向に背いた事。」
ディーラーがボールを投げ入れるウィールを見つめたまま、ヴァロンが言った。
長期任務の事、身重のアカリさんと離れる事。
ワシは昔の自分と重ねて、つい感情を剥き出しにして反対した。
……けれど。
「……。
お前達が2人で決めた道なら、それで良い。」
数日前にアカリさんから手紙をもらった。
たくさんのワシへの感謝の言葉と、ヴァロンへの想いが溢れた手紙。
それを読んで分かった。
似ているワシとヴァロンの違う所は…。
「……ワシは。
……。シュウの母親を愛しておらんかった…。」
他の客がウィールのボールの行方に集中する中、ワシは思い出す様に呟いた。
……その場の流れ。
簡単に言えば、シュウの母親とはそういう事。
仕事が思うようにいかずイラついて、酔った勢いで身近にいた彼女を抱いた。