夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
「さぁ〜て!そろそろ行くわ!」
そんなワシを察する様に、俯いたワシの背中をヴァロンがそう言いながらポンッと叩く。
思わず顔を上げると、さっきまで隣に居たヴァロンの姿がなく…。
ワシが後ろを振り返ると、奴は鞄を担ぐ様に持ちながら背を向けていた。
「……ジジイ、ごめんな。
俺はきっと死ぬまで何でも屋。
夢の配達人としてしか、生きられねぇわ。」
呟く様に謝るヴァロン。
その言葉から、伝わってくる。
初めてリディアが連れて来たヴァロンを見た時に思った。
成長するこやつを見る度に感じていた。
自分に似ている、と…。
…ワシはヴァロンを自分と重ね、こやつの幸せを護る事で自分も救われる気がしていた。
仕事以外に生き甲斐を見付けてほしい。
愛する人と幸せに生きてほしい。
自分が出来なかった夢を、ヴァロンに託していた。
……いや。
押し付けてしまって、いた。