夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
【8月14日/依頼人宿泊先の部屋】

明日からの任務開始に備えて、俺は依頼人アランの元に前乗りして詳細を確認する事になっていた。

堅苦しい挨拶はいいと言われ、部屋を訪れて早々渡されたのは変装に使うウィッグとカラーアイレンズ。
今回俺とアランの関係は周りには親戚という事になっているらしく、奴に似せた雰囲気に自分を仕上げる。
黒に近い灰色の髪と、灰色の瞳。
最後に黒ぶちの眼鏡を掛けて洗面台の鏡で自分の変装した姿を見つめて深呼吸すると、俺は洗面所を出てアランの元へ戻った。


「…お待たせしました。」

「!……へぇ。」

アランが座るソファーの側に行くと、頭から足の先まで俺の全身を確認する様に見つめて…。
奴の視線が俺の左手を見て指を差す。


「それ、外して。
任務期間中は独身、恋人もいないと答えろ。」

アランが指摘したのは結婚指輪。
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