夢の言葉と陽だまりの天使(上)【夢の言葉続編②】
詳しくは言わないが、周りに女がいる影を見せるな、と…。
アランの瞳が俺に命令する。
俺に女がいては不都合な場合がある、という事だな。
”独身の男”も交渉や契約の取り引きの材料。
……。
アカリ、ごめんな。
……。
「…わかりました。」
俺が左手の薬指から指輪を外し上着のポケットにしまおうとすると、アランがスッと手の平を差し出す。
「契約期間が終了するまで私が預かる。」
”よこせ”と俺を射抜く瞳。
相手は依頼主、逆らう事は…本来許されない。
……。
けど、俺の心が自然と拒否する。
アランを見据えたまま、俺は指輪を自分の上着のポケットにしまった。
するとその様子を見て奴が笑う。
「……反抗的、だな。
まあいい。従順すぎるのもつまらんからな。」
そう言うとアランはソファーから立ち上がり、俺の胸に分厚い資料の束を押し付けるように渡してきた。